2021.04.10 又吉直樹「火花」

主人公が先輩に憧れ、尊敬する気持ちが理解できず、なんだか消化不良な感じでした。
芸人から見たら、先輩の持つ才能に惚れ込み、無条件に心を奪われてしまうのでしょうが、芸人の世界の外にいる自分からすると、人間の弱い部分が現れ、だんだん堕落していってしまう姿にもどかしさを感じてしまいます。才能を生かすことができず（確かに厳しい世界で、才能がそのまま評価につながるわけでもなく、ちょっとした運やタイミング、人とのつながりによって、どう転ぶかわからない）、客観的にみたら、社会から外れた人になってしまう。
お笑い番組やネタなどを見ていると、もはや芸人は芸人ではなく、一流俳優並みの演技をこなし、想像のはるか上をいくネタや発想ももち、そのクリエイティブな能力にびっくりしてしまいます。見る方は気楽なものですが、芸人の見えないところでの戦いは計り知れません。