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お知らせと活動

【研修】離婚と子どもをめぐる問題~国内外の研究から~

石川調停協会連合会の調停委員大会と研修会がありました。
調停委員大会では、各協議会、大会の報告がありました。
研修会は、和光大学の熊上崇教授による「離婚と子どもをめぐる問題~国内外の研究から~」という内容で、興味津々です。熊上先生は、元家庭裁判所の調査官であり、公認心理師でもあります。

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令和4年の司法統計の紹介があり、婚姻事件の動機のなかに「暴力を振るう」「精神的虐待」「家族を捨てて顧みない」「生活費を渡さない」がありますが、これらはいずれもDVに当たるということだそうです。

DVには「身体的暴力」「精神的暴力」「性的暴力」「経済的暴力」がありますが、先生曰く、DVとは、強制的支配(coercive control)が根幹にあり、権力と支配によるものだそうです。威嚇する、孤立させる、責任転換、歪曲化、いやがらせ・・・。いろいろなケースの紹介があり、聴いていてなるほどと理解できる点がありました。

ではその反対は何なのか??先生曰く、平等であり、リスペクトであると。威嚇的ではなく、責任を持ち、相手を認める。一人で決めるのではなく協働で。対等にお互いに、尊厳をもってリスペストするということだそうです。なるほど、支配には上下関係が生まれますが、リスペクトの気持ちがあれば、同じ立場で、相手のことも考えるということになります。

このDVの構造が、面会交流においても問題となってしまうことが少なくありません。面会交流は子供にとって良いものなのか?? 一般的にはそう言われています。父母が協働し、子供の意思を尊重しているものであれば、良いものであることは間違いありません。でも、父母が敵対する関係やDVの関係にあったり、子供の意思を無視したものである場合は、子供にとって良いものではありません。「伊丹市面会交流心中事件(2017)」の紹介がありました。母親に対するDVがある中、離婚した夫婦。その後、養育費の調停申し立てがあり、面会交流についても家庭裁判所で話し合われていました。その間も4歳の娘と父親との面会交流は行われていたそうです。事件は家裁の審判後初めての面会交流が行われた日に起こったそうです。面会交流中の父親が4歳の娘を殺し、自殺したそうです。先生曰く、これは、父親による元パートナーへの最大の嫌がらせであると。こんな残酷なことが起こってしまうなんて。ゆがんだ感情がこんなことを引き起こしてしまうのか。話を聞いていて心が凍り付きました。面会交流をさせなければ、、、。こうなることが予測できなかったのか、、、。

国によって面会交流の考え方、方法が違っています。そしてもちろんそれは固定的なものではなく、時代や悲しい事件の発生によって変化しています。その紹介がありました。

【アメリカ】法的強制力のある面会交流の子どもの長期追跡を行ったワラースタインの研究では、子供の気持ちがよくわかりました。強制的に実施される面会交流は必ずしも子供にとっていいものではないこと。別居親に対する感情、面会交流に行かせる同居親に対する感情。生々しく感じました。いったい何のために面会交流するのですかね??「会うのがいいとは限らない!」と先生はおっしゃいました。その通りだと私も思いました。

【イギリス】かつて面会交流が子の福祉に資するとされていましたが、子供の心理の研究が進み、英国Cafcassでは、家庭裁判所の手続きを経験した若者がその体験をシェアしたり、勧告をしているそうです。「子供の声を聴くことは子供の権利であり、子供にとって本質的な価値と利益である。」「私たちのことを私たち抜きに決めないで。」

【オーストラリア】オーストラリアでも悲しい事件は起きています。子供の安全を優先し、フレンドリーペアレントルールが廃止されました。そして2023年には「親責任の同等な分担の推定」が廃止されたそうです。同等が必ずしもいいとは限らないということです。Family Relationship Centerでは調停前に教育プログラムを受講し、子供を第一に考える必要があること、子供の安全が重要であることを伝えているそうです。そして子供中心シートを作成し、子供のいいところを記入していくなど、とにかく子供のために、子供を中心に実施していこうということで行われているそうです。

この研修を受講して、一体何が正解かわからないなと何か頭の中がぐるぐるしてしまいました。離婚がなければいいのかもしれないですが、離婚しなくても不仲や悪い環境の中でいなければならない子供もそれはそれでかわいそうな話です。子供は自分の意志だけで行動することができないだけに難しいなと感じてしまいました。ケースバイケースだとは思いますが、その時の最善の選択ができるよう、サポートしていきたいと思いました。