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重松清「ひこばえ(上・下)」

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味わい深いお話でした^^
大学の先輩がお勧めしていて読んでみたのですが、亡き父を中心に、温かい心を持った人ばかりが登場し、ほんわかした気持ちになりました。登場人物のキャラクターが実に明快で、映像を見ているかのように姿がはっきりします。特に後藤さんのキャラクターが上出来で、よく、こういう人物を想像できたなと感心する思いです。でもこれに近い性質の人もいるなと感じるし、世の中にはいろいろな人がいるなと改めてしみじみしました。

主人公は年代的に自分と近く、こういう年代に起こること、考えることが他人事のように思えず、共感ばかりでした。突然の父との再会に戸惑い、いろいろな感情が生まれ、逃げたい気持ちとそういうわけにはいかないという気持ち、そして、徐々に父のことを知りたいという気持ちになる。頭の奥底にうずもれていた記憶が突然思い出される。記憶とともに感情もよみがえる。人間はキャパの問題からすべてを覚え続けることができないようになっているのだと思うのですが、でも何も覚えていないと思われていた事柄が急によみがえる瞬間があります。その時のなんとも言えない懐かしさと当時の自分と今の違いなどを感じてまた違う感情が芽生えたりと、まぁ人間は面白いですね~~

「いいじゃない、思い出は身勝手で。」この言葉で、気持ちが楽になりました。それでいいとゆるされるのならほんとに幸せですね。