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垣谷美雨「女たちの避難所」

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全く予備知識なしで、読んだので、タイトルからは女性の逃げ場・息抜きみたいなお話かなと思ったのですが、全然違っていました。まさに避難所を利用せざるを得なくなった女性たちの、それぞれの人生が重なり、避難所で、田舎ならではの、和を乱すな、目立つなという雰囲気、男社会における女性に対する扱い、考え方が生々しく表現され、かなりメッセージ性の高い本でした。東日本大震災での取材を元に書かれているそうです。

最後は前向きに強く生きていく姿が痛快で気持ちよかったです。本の中で、うわべだけの絆という言葉に嫌気がさすという言葉がありましたが、本当にそんなきれいごとではいかないだろうし、実際に被災した立場でないとわからないことがたくさんあるのだろうと思いました。

遠乃の立場にはほんとに心が苦しくなりました。ただでさえ、夫を亡くして絶望の中、小さな子供を生かしていかなければならない現実、これからの日々が夫亡き後も嫁の立場で舅、義兄との生活となること。そして舅の志向・気質、義兄の魂胆。昔の女性ならば黙って受け入れたのでしょうか??それが当たり前という風土があれば、それは恐ろしいものです。

新型コロナウイルスが流行している今、もし、災害が起きたら、と想像したら、ゾッとします。避難所では、狭いスペースにたくさんの人が集まることになるので、避難所の形態も難しくなってしまうんだろうな。ただただ平穏な日々を願います。