2026.01.24 ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」
投稿時間 20:37
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ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』は、読書仲間が貸してくれた一冊です。
私は大学時代に心理学を学んでいたので、フランクルの名前やロゴセラピーについては知識として知っていたけれど、実際にこの本を読むと、知識として整理すること自体がどこかためらわれるような内容でした。
劣悪な環境、不十分な食事、過酷な労働、休息のない日々、いつ殺されるかわからない恐怖、いつまでここにいるのかわからない不安、外に出られる希望も、生きている意味も見出せない状態。そんな状況では、人間らしさを保つこと自体が極めて困難であり、人間らしさを失わなかったからといって生き延びられる保証があるわけでもない。立派で気高い人が翌日にはあっけなく命を落とす、その現実の前では、希望や意味といった言葉さえ軽く感じてしまう。だからこそ、こうした極限状態の心理を分析し、何かを説くことに、果たして意味があるのだろうかと、途中で少し耳を塞ぎたくなる自分もいました。想像を絶する環境と、今の自分の置かれている日常を並べてしまうこと自体が、どこか不誠実な気もしました。
それでも読み終えたときに残ったのは、深い理解や納得というより、「今、ここにいる」という事実への、言葉にしづらい感謝のような感覚でした。この本は、簡単に感想をまとめたり、前向きな教訓に落とし込んだりすることを拒む一冊で、だからこそ、読み終えた後も静かに心の中に残り続けるのだと思います。