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【研修】①北陸新幹線開業10年・敦賀延伸1年の地域経済への影響、②日本家屋の性能

公益社団法人石川県不動産鑑定士協会の研修がありました。
今回の研修は二部構成。前半はインフラと地域経済、後半は住宅の性能と健康寿命という、まったく毛色の違う2本立て。どちらも今後の不動産の価値や暮らし方を考えるうえで、大変学びの多いものでした。

① 北陸新幹線開業10年・敦賀延伸1年の地域経済への影響
講師:藤沢和弘 氏(元・北陸経済研究所)

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金沢に住む私たちにとって、新幹線延伸はもう他人事ではありません。金沢延伸から早10年、そして敦賀延伸から1年が経過した今、地域経済にどんな影響があったのか? これを数字と実例で紐解いていただきました。

印象的だったのは「新幹線=観光効果」だけでなく、「製造業やインフラ整備を通じて地域の経済体質そのものを変えた」という点。たとえば富山や石川では、開業前の予測を大きく上回る経済効果(石川で約454億円、富山で約409億円)。さらに生産指数が全国で突出して伸びているというデータには驚きました。

また、今回の敦賀延伸では「単なるお祭り騒ぎで終わらせない」という意識が各自治体にあり、地に足のついた戦略が進んでいるとのこと。福井県は「恐竜一本足打法」で観光と街づくりを進め、とくに越前たけふ駅の「あえて乱開発させない」という都市計画は、不動産鑑定士としても興味深い視点でした。

② 日本家屋の性能
講師:石川県不動産鑑定士協会会員の先生

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後半はガラリとテーマが変わり、「家の断熱性能と健康寿命」について。まさに「住まいのあり方」を問い直す内容でした。

まず驚いたのは、日本の住宅の約9割が「まともに断熱されていない」という事実。さらに、家の断熱性能が低いと、冬場の死亡率が高まるという統計データ。これ、実はスペインやポルトガルといった温暖な国でも同様の傾向があり、逆に北欧の国々では冬の死亡率が低いとのこと。

断熱性能を高めることで健康寿命が延びるだけでなく、光熱費も抑えられ、結果的には家計にも優しい。たとえば断熱等級4から7への改修費用は約230万円ですが、20年で元が取れる試算。これ、もう投資です。

加えて、断熱改修による空き家の有効活用や、賃貸住宅の性能向上といった社会的課題にも触れておられ、「断熱は福祉であり、インフラでもある」と改めて感じました。

おわりに

今回の研修を通じて、「ハード(インフラ・建物)」と「ソフト(暮らし・健康)」の両面から地域の未来を考えることの大切さを学びました。

不動産鑑定士として、そして金沢市民として、「価値のあるまちづくり」とは何かを考え続けていきたいと思います。


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