2024.09.28 桐野夏生「グロテスク（上・下）」

ずーと前に、ポットキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香のOVER　THE　SUN」の中で、「東電OL殺人事件」について語ろうという回があって、この事件のことに関心を持ちました。リアルタイムでは覚えていないのですが、ジェーン・スーさんが、私だったかもしれないと話され、女性の心の中にある闇にスポットが当たる事件だったんだろうなと思いました。グロテスクはこの事件をモチーフにした小説ということで手に取りました。

作り物ということで登場人物一人一人の背負うものが大きくて、おなかがいっぱいになり、胃もたれするような感じのお話でした。それにしてもユリコの姉の悪意に満ちたしゃべりと行動。本来、そういう要素が人の中にはあるんだろうなと、これを具体化させてくれて面白かったです。登場人物すべて、人間としての本性があふれていました。

人に認められたい、人に必要とされたい、自分の価値を知りたい、社会で生きていくため、自分自身に折り合いをつけるため、裏の顔を持つ、優越感を持ちたい・・・・そういう感情に日々もがきながら人は生きているのですね。

女性が求められているものは、なんなのだろうか？と頭の中がグルグルしてしまいました。