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重松清「その日のまえに」

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「その日」とは、「死を迎える日」。短編小説がいくつか入った本なのですが、実は話がつながるという、時間と場所を超えたスケールの大きなお話となりました。久しぶりに泣きながら読んだ本となりました。

「死」については、身近な人の死も経験し、いろいろ考えることはありますが、余命がわかっている方がいいのかなとこの本を読んで感じました。「その日」に向けて、本人も準備ができる。見送る家族も準備ができる。「その日」までの過ごし方を考えることができる。心の準備ができる。そして「その日」を受け入れることができる。


「ひこうき雲」

病気で亡くなる子の設定が、絶妙というか、小さなクラスメートたちにとって、いなくなってもあまり悲しくない人物というのが、子供らしいというか、残酷というか。

「潮騒」

自分の余命を知った瞬間のぐらぐらの気持ち。それをやさしく包み込んでくれる旧友。特別な時間を共有したものは時間を超えて救い合うということか。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」

お母さんの立場で読んでしまった。ただただ残念でならなかっただろうな。息子も直視できない現実を乗り越えて、気丈に過ごす日々に心がはちきれそうになった。

「その日の前に」「その日」「その日のあとで」

なんで私なのだろう、なんで妻なのだろう、なんでお母さんなのだろうとそれぞれの立場で「その日」に向けて葛藤があります。「その日」のあと、残されたものがどう過ごすのか、忘れるわけではないけど、思い出すことが少なくなる現実。これはいいことなのか、申し訳ないことなのか、死んだ人はどうしてほしいと思っているのか。


まあ、先のことはわからないけど、今に感謝し、一日一日を大切にしないといけないなと感じました。