2026.02.07 映画「愚か者の身分」
息子曰く、今はやっているというので、映画「愚か者の身分」を観ました。

正直に言うと、観終わったあとしばらく気持ちが重くなりました。
友情はとても美しいのに、その友情が育った背景があまりにもむごいからです。これはフィクションなのか、それとも今この瞬間もどこかで起きている現実なのかと考えずにはいられませんでした。
一度足を踏み入れたら簡単には抜け出せない世界。仲間なのか敵なのか、信じていいのか疑うべきなのか、その境界がどんどん曖昧になっていきます。それでも不思議と、ときどきいい人が現れるのです。だからこの世界も捨てたものではないのかもしれないと思わせてくれるけれど、同時に、こうならざるを得ない環境に置かれているという構造の残酷さも感じました。二人分のパスポートを用意している場面では思わず胸が詰まりました。未来を信じているのか、逃げ道を用意しているのか、それともただの希望の象徴なのか、言葉にしない優しさがあまりにも切なかったです。
重いテーマの中でなぜか忘れられないのがジョージの金歯で、あの存在感には思わずくぎ付けになってしまいました。笑っていいのか迷う世界観の中で、少しだけ人間らしさを感じさせるアクセントのようにも思えました。
物語はきれいに完結せず、この後どうなったのだろうと想像が広がります。三年後を描いた小説もあると聞き、気になる気持ちと知るのが怖い気持ちが入り混じっています。
タイトルにある「身分」とは何なのか、生まれた環境で決まってしまうものなのか、それでも友情だけは確かに本物だったのではないかと考えさせられました。気が重くなる映画でしたが、きれいごとでは済まされない現実を真正面から突きつけてくる作品で、観てよかったと思います。観終わったあと、静かに考える時間を与えてくれる一本でした。