2025.06.14 【研修】①定期借地権の現在位置、②蟻鱒鳶ル、未来への挑戦
公益社団法人東京都不動産鑑定士協会 設立30周年記念祝賀会の前に記念講演会がありました。
第一部は、「定期借地権の現在位置」というテーマで、講師は、旭化成ホームズ株式会社の大木祐吾氏です。
平成4年の借地借家法改正によって創設された定期借地権制度ですが、早くも30年以上の年月が経っています。一時期は定期借地権ということが話題になり、ニュースになることもありましたが、今はほとんど話題になりません。それはイコール定期借地権が一般的になじんできている証拠で、石川県のような地方でも定期借地権の設定された土地をよく目にします。
(一社)全国定期借地借家協会代表理事、定期借地権推進協議会運営委員長もされており、時の経過により、定期借地権制度が創設された当時のメンバーも高齢化してきているそうです。これまでいろいろなスキームで土地活用を進めてきたノウハウを後世に残す活動とともに、新たな取り組みや解決策を模索されております。
そして今、定期借地権が改めて注目されているそうです。
【大都市圏等人気地区】では、地価が高騰し、土地を購入して住まいを持つことも事業を進めることも難しくなっています。
一方、【不人気地区】では、地価は横ばいもしくは下落していて、土地の購入がリスクである可能性があります。
「購入」ではなく、「利用」の視点が今後はより重要になるのではないか?とのことです。納得です。
時代の変化やニーズに応じて、物事は形を変えていくこと、とても大事で、これは私自身の仕事にも通じることで、常に変化を受け入れて柔軟に対応していく姿勢が大切だなと、ちょっと研修の本筋とは違いますが、そんなことを感じた研修でした。
第二部は、「蟻鱒鳶ル、未来への挑戦」というテーマで、講師は、一級建築士の岡啓輔氏です。
まったく、予備知識がなかったので、まず、このタイトルは何?どう読む?これは何なの?というちんぷんかんな状態でお話を聞くことになったのですが、まず、講師の岡さんがとても楽しそうにお話をされる姿にくぎ付けになりました。
「蟻鱒鳶ル」。これは、「ありますとんびる」と読み、東京都三田で建設中のビルの名前だそうです。そして、このビルは20年近くの時を経て今もなお建築中であるとのこと。なんとおおらかで夢のある話だと。岡さんのこだわりやビルにかける熱い思い、建築士としてのポリシーなどとても興味深く聞かせていただきました。コンクリートって面白いんですね。
「楽しんで作ったものは美しい、嫌々作ったものは美しくない」
完成図がないというのは素敵ですよね。型に収まらないというか、可能性を閉じ込めないというか、これも第一部に通じますが、変化を受け入れる素養がないといけないなと感じました。
再開発のエリアに独特の雰囲気を醸し出して、建っているんだろうな、ぜひ、実物をこの目で見たいと思いました。