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映画「幼い依頼人」

映画『幼い依頼人』:子どもの声はどこへ届くのか

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映画『幼い依頼人』を観ました。率直な感想は……「かわいそうすぎる」。
つらくて目を背けたくなる場面がいくつもあったけれど、最後まで観ずにはいられませんでした。

無邪気さが際立たせる残酷さ

物語の中心となるのは、幼い姉弟。
弟はまだ何もわからない年齢で、無邪気に笑い、はしゃぎ、姉に甘える。でも、その無邪気さが逆に痛ましい。
何も知らない弟の存在が、お姉ちゃんの苦しみを際立たせる。
お姉ちゃんは、弟を守るために耐え、我慢し続ける。それがどれほどの重荷だったか……。

「支援」の形だけの大人たち

映画の中には、大人の世界の「支援」が描かれている。福祉、警察、近所の人々。
でも、どこか他人事のようで、表面的な関わりしか持たない。
助けを求めても、本当には救ってくれない。
「ひどい」と思うけれど、それが現実でもあるのかもしれない。

母親を責めるだけでいいのか?

物語の加害者である母親。
彼女は夫からも評価されず、日々の生活に余裕がなくなり、次第に子どもたちに手を上げるようになる。
「一生懸命やっているのに、何が悪いの?」――きっとそんなふうに感じていたのかもしれない。
彼女自身の育った環境が、母性を育む余裕を奪っていたとしたら……。
単純に「悪い親」として責めることはできない気がした。
こうやって、負の連鎖は続いていくのだろうか。

声をあげても、届かない悲しさ

この映画が何よりもリアルだったのは、子どもが必死に訴えても認められない現実。
親に逆らえず、逃げられず、頼る場所もない。
子どもにとって、家族という狭い世界がすべてであり、そこにある絶対的な上下関係から抜け出せない。
その閉塞感が、観ていて苦しかった。

映画を観終わったあと、しばらく呆然としてしまいました。
現実のどこかで起きていることでもあるし・・・。