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【研修】林地及び立木価格からみた森林評価の現状

所属する公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会主催の研修「林地及び立木価格からみた森林評価の現状~2023年山林素地及び山元立木価格調の結果を踏まえて」をe-ラーニングで受講しました。

林地及び立木価格の現状からみた森林評価の現状

山林の評価の機会はそんなに多くはないですが、関心があり、以前から岐阜県へ何度も研修に行ったり、元ボスからも資料をもらったりしていました。

今回、知識を最新へ更新しようと思い、受講しました。

【日本の森林・林業を取り巻く環境、木材需給を取り巻く情勢】

2017年に標準伐期に入る10齢級(50年生)が人工林面積のピークとなっており、森林蓄積量は、現在も過去最高の更新を続けており、日本の森林資源(ストック)は、成熟期を迎えています。しかし、その実態は、木材価格の長期低迷により、林業採算性は悪化し、一部を除いて林業経営が成立しない状況下にあることから、間伐等の管理が満足に行われずに森林荒廃が相当に進んでいます。現在の状態が放置され続けることは、林業生産にとって大きな損失であるばかりではなく、森林の持つ国土の保全、地球環境保全(CO2吸収等)、生物多様性保全等の多様な機能も失われることになってしまいます。

林業従業者は、近年は、下げ止まりの傾向がうかがえるものの、減少は続いています。ただ、若者の新規就業も増えており、若干の若返り傾向があります。

国内の木材需要は、住宅着工戸数の構造的な減少があり、今後さらに高齢化・人口減少が進むことから、国内の木材需要は縮小傾向が継続すると考えられます。

木材の輸入形態は、丸太(素材)、製材品、合板等、パルプ・チップの輸入量はいずれも減少しており、2020年は外材がウッドショックの影響で減少し、国産材の割合は84.4%と1961以降のピークをつけ2022年は85.1%と6年連続で80%を超えています(令和3年木材統計)。

【山元立木価格調(2023.3)の結果について】

林地及び立木価格の現状からみた森林評価の現状-2

2022年調査において、2021年のウッドショック以降、2022年に入りウクライナ侵攻、円安の進行が重なり、国産素材(丸太)価格の上昇に拍車がかかり、山元立木価格は、杉、桧で1953年以降最大の上昇率を記録しましたが、2023年調査では、杉が4361円、桧が8,865円、松が2,672円で、前年に比べ杉は△12.7%、桧は△18.2%、松は△2.1%と、それぞれ低下しました。変動率をみると、ウッドショック等が収束したことにより、杉、桧、松ともに前回調査の大幅な上昇から低下に転じました。

林地の投資採算性については、ここのところ、ウッドショックに伴う木材需要の逼迫もあり、国産材への用材需要や、バイオマス発電等への燃料材の需要も安定的で、収益性に明るさも見えてきましたが、A材の価格が高値安定した状態が継続しているとは言い切れず、再造林を前提とした用材林地の投資採算が好転するかは、未だ不透明な状況にあるとのことです。

【山林価格からみた林業採算性】

林業採算性の悪化は、森林所有者の林業経営に対する意欲を低下させ、将来見通しの不安や後継者問題も相まって、①皆伐や再造林の回避、②間伐等の育林施業の放棄、③山林の売却による所有の放棄等の負の連鎖を創出させています。このような状況でみて取れるように、我が国の林業経営は、素材生産での損益分岐点から育林・造林での操業停止点に直面しているといえるとのことです。

今後の可能性としては、森林は、その生産期間の超長期性により、長期間には大きな物価(木材価格や林業労賃)の変動等の影響を免れないこと等の特性を有しています。このことをポジティブにとらえると、近年は国産材市況が回復しつつありますが、森林の持つ長期サイクルのなかでは、①国内の住宅着工の回復や木材需要の拡大、②新興国の木材需要の拡大による世界的な木材需給の逼迫、③為替が大きく円安に移行することによる国産材の価格競争力の向上の可能性が考えられるとのことです。

 

以前は、厳しいの一点張りでしたが、今回が様相が違い、目から鱗でした。

最後にテストがあるのですが、無事合格しました!

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