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窪美澄「トリニティ」

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自分が70代、80代になった時、自分の人生が幸せだったと感じることができるものであるといいなぁと思いました。

3人の女性。時代背景は今と違いますが、それぞれ、ほんとに日々がんばって、戦っていたことがわかります。人生は長い。いろいろなことが起きる。

こういう、人生をたどる系の小説、好きです(*^^*)

❖ (鈴子) 割と普通の人生。専業主婦になることが当然であり、本人もそれを望んでいた。「専業主婦なのに、子供を泣き止ますこともできない」ととても落ち込んでいた時がありましたが、自分でどうしようもないものを前にただただ茫然とし、自信を無くしてしまう感じ、よくわかります。周りは仕事もしながら子育てしているのに・・・と。専業主婦というくくりではなくても、どっちにしろ母親なのに・・・という思いにつながるのだと思います。

女には人生の岐路がたくさんあり、自分が選んだ道が良かったのか?ちょっぴり後悔したり。他人をうらやましく思ったり。「たとえどんな道を選んでも後悔するのが人生です(←誰かが言っていたような・・・)」。

❖ (登紀子) かっこいい生き方。裕福な家庭に育ち、自分でお金も稼ぐ。財力のない男なら私が養ってあげる。それを日々の目標として仕事を頑張った。夫の立場は微妙だったのかなぁ。登紀子の仕事を応援しているのかと思いきや違った。ちょっとさげすんだ感じ。あなたのために嫌な仕事もしているのに!!

最先端のかっこいい女性、新しい女として、年上の夫に家事を任せる。対外的にもそういう自分が好き。夫に捨てないでとみじめなことを言ったのは、夫のことが好きだからではなく、自分のメンツのため。

仕事は土台がなく、不安定な状態。良かれと思って言ったことが敵を作ってしまう。時代を引っ張っていた登紀子が年を重ねるごとに時代に置いていかれるようになってしまう。悲しいかな、でもいつまでもというわけにはいかないよね。晩年、登紀子は自分を受け入れていたと思う。みじめという感情ではなく。死ぬときは一人。

❖ (妙子) ほんとにバランスって難しいなと感じた。仕事、結婚、子供。すべてを手に入れたと思っても、一方にぐ~っと注力すると、別の方にほころびが出てしまう。私も仕事をしすぎてほかに問題が生じることをよく経験した(笑)

妊娠出産育児は、女性だけがキャリア形成の過程で足踏みさせられる場面であって、妙子も第一子をあきらめざるを得なかったときはほんとに苦しかったと思う。でも仕事がこれからというタイミングで妙子には迷いはなかったのかもしれない。仕事も簡単なものではなく日々もがき、新しい絵を生み出さないといけない。仕事に注力するとほかのことは邪魔に感じてしまう。

途中から夫に対する愛情(関心)はなくなっていたんだろうな。子供のために父が必要。対外的に夫が必要。それだけ。夫はもっと妻に関心を持ってほしかったんだろうと思うけど、妻をそのまま若くした同業女性となんて。妻の代わりということかもしれないけど、妻にしたら、仕事も取られ、夫も取られ、こんな屈辱的なことはない。何のために仕事を頑張ったんだ!!

健だってそう。一生懸命仕事しているのに、理解してくれない。まあ小さいからそんなこと求めてもしょうがないのだけど。妙子の母だってそう。小さいときに散々自分に寂しい思いをさせたのに。。。と、物事がうまくいかなくなると、何もかも恨めしく思ってしまう。がんばっていることが報われないとただただ力が抜けてしまう。晩年の妙子、かわいそうだったな。

❖ 妻が夫を養う的な考えを持った登紀子も妙子もうまくいかなかった。上下関係ではなく、対等に、お互いに尊敬しあい、支え合い、協力し合わないといけないということですね・・・・。・・・そうは言ってもなかなか難しいけどね。

 

「仕事、結婚、男、子供・・・・ すべて求めるのは罪ですか?」

結論、罪ではないが、すべてを手に入れるのは難しい。