2020.12.16 【研修】建設経済セミナー2020
一般財団法人 建設物価調査会 総合研究所主催の「建設経済セミナー2020」をオンラインで受講しました。
❖まずは「建設投資動向について」と題して国土交通省建設経済当課調査室企画専門官による、建設投資の概況、建築物の着工状況、建設工事の出来高、維持修繕需要についてのお話です。
客観的なデータに基づく過去からの推移をみることは大変参考になります。特に新型コロナウイルス感染症の拡大が経済情勢に及ばす影響に大変興味がありました。新設住宅着工戸数は、今年に入ってから特に4月以降は大きく減少し、5月を底としてその後徐々に回復してきています。しかし消費税増の影響もありますが、前年の水準までは戻っていません。
維持修繕需要のお話の中で、インフラ・住宅ストックの現状として公共土木構造物の老朽化、民間建築物の老朽化の話があり、住宅についても築後経過年数が経過した物件が増えているデータが紹介されました。そのような物件に対して壊すのではなく、維持修繕を行うことでうまく活用し、またその物件が市場の中で価値を認められ、流通していることができる社会システムの構築が必要であると感じました。
❖つぎは「日本経済・物価の展望」と題して日本銀行経済調査課の方によるお話です。
特に新型コロナウイルス感染症が日本経済に及ぼす影響として各方面からの分析があり、循環している社会において、いろいろなところに波及していることが分かりました。それに対する政府の支援策、そしてその支援策が求められる効果などの話を伺いました。またリーマンショック時との比較もあり、金融情勢が当時とは大きく異なり、また支援策が多いことから数字としてはリーマンショックほどの落ち込みには至っていないようでした。
❖そのほか新型コロナウイルス感染症により、建設投資と機械設備投資の計画がどのように変化したかというアンケート調査の結果の紹介もありました。3月調査時点では、国内では新型コロナウイルス感染症の影響はあまりあらわれておらず、この時点での投資計画にはあまり変更はありませんでした。しかし、6月調査時点では、緊急事態宣言解除直後で先行きの不安から、投資計画を後ろ倒し、もしくは中止・無期限延期とする回答が多く目立っています。9月についても同様の結果となったのですが、その理由として、「自社のキャッシュフローを確保するため」との回答の割合が増える結果となっています。
時系列データから得られる情報はとても重要であり、私自身も常に最新の動向を把握していきたいと思います。