2018.01.31 【研修】成年後見と相続手続きの実際
富山県総合情報センター「情報ビル」で日本FP協会富山支部の研修会がありました。司法書士業務の現場から成年後見と相続手続きの実際についてお話しいただきました。相続や後見に関する研修は好きでよく聞きに行くのですが、今回の研修は、具体的な話が多くて大変面白かったです。
ご自身が後見人として経験された事例をご紹介して下さり、後見人としての報酬、財産のあまりない場合のやりくり、被後見人と親族との関係性などなど。報酬は必ずしも高くなく、作業量の多さを感じました。でも今後、超高齢化社会が進むにつれて後見の必要性はますます増え、制度の拡充が必要だと感じました。
相続手続きに関する講義は、相続のスケジュール、相続法の適用時期による法定相続人の順位、相続分の変遷を再確認し、空き家問題や所有者不明土地問題の話もありました。
特に休眠担保権の抹消に関するお話は勉強になりました。謄本をとったときに、とても古~い抵当権が残っている場合があります。昭和〇年設定とかです。債権額も金〇〇〇〇円、利息も日歩〇銭〇厘。抵当権者に名前があるけれども今となっては、誰かもわからないし、ましてやご存命かどうかも不明。
物件調査の仕事で何度か見かけて、これを抹消するにはどうしたらいいのだろうかと疑問に思いながら報告書を書いていたのですが、対応方法がわかりました。
【不動産登記法第70条3項後段】「登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、被担保債権の弁済期から20年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときは、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。」
例としてお話ししていただいたケースでは、債権額も今の物価で考えたら、少額で、利息を計算してもその額はわずか。これを供託することによって、登記権利者は単独で抹消登記ができるというものです。
その前提として、登記義務者の所在が知れないということが必要なのですが、謄本に抵当権者として記載されている住所・氏名宛に配達証明付内容証明を郵送し、「宛所に訪ね当たらず」として返送されてきた場合には、債権額の供託➡抵当権抹消登記の流れになるそうです。もし、配達証明付内容証明を郵送して、「受取人不在、保管期間経過によりお返しします。」というような、不明であることが確実でない場合には、相続人を調査する必要があるそうです。
いずれにしても、司法書士の先生のお力がないと難しいですね!最後に講師の先生にも質問をし、有意義な研修となりました。
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