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筒井康隆「残像に口紅を」

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実験小説ということで、最後はどうしても尻切れトンボのようになってしまい・・・・。
最初から「あ」がないとは! それでも文章はできるのですね。
この小説は作家の挑戦というかエゴというか、言葉を別の言葉で表現することに楽しみを見出している。官能的な表現、がんばって表現を見つけている点は、作家的には面白いのでしょうが(こんなこともできるぞ!!という感じで)、物語としてはどうなのでしょう? 話の途中、どの言葉がなくなったのかを感じさせない展開はすごいなと思ったけど。
全ての言葉が消えちゃうとだめなので、いくつかNGワードみたいなのを仕込んで、物語を作るというのもいいかも!?

話は主人公の視点で進んでいき、夫が妻のことをこんな風に考えていたのか~?とか、わが娘のことをこんな風に思っていたのか、妻以外の女性のことをそんな風に見ているのか~? と、なかなかわからない男性の目線が良く分かって勉強になりました(笑) 専業主婦の大変さというのも十分伝わってきたし、どっちにしろ、夫婦はお互いを思いやる気持ちが大切ですね。

実際問題として、愛する人が消えてしまったら?? 「残像に口紅を」って、綺麗なものとして記憶に残しておきたいという愛情のあらわれですね・・・。 姿かたちを記憶にとどめようと必死な感じが切なかった。