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東野圭吾「真夏の方程式」

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愛というのは正義も打ち破る、強く深いものだと感じた。親子、夫婦。守るべきものがあれば、自分が犠牲になっても構わない。困ったことがあるとすぐに外に居場所を求めようとするマヌケな自分が情けない。守るべきは内ですね。かけがえのない大事なものであり、なんとでも変えることができるものなのかもしれない、自分次第で。

物語は大変読みやすく、ややもすると単なる事故として処理されてしまうところを、違和感を感じ、動く人々。湯川先生も独自で動き出す。

綺麗な風景の中で、少年のひと夏の出来事として物語は進んでいくが、想像以上に周りの人々は、複雑なものを抱えていた。

自分の出生に関わる話なんて当事者である自分ではどうしようもないことで、自己の根源を否定され、侮蔑されたと感じたに違いない。でも受け入れるしかない。そして、ただただ平穏に過ごせることを願うしかない。

最後は湯川先生のやさしさが尾を引く物語でした。