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お知らせと活動

【研修】家賃の鑑定評価

最近、賃料に関するご依頼や問い合わせがよくあります。
賃料水準の把握や市場レポート、賃料交渉などなど。。。

平成27年3月の北陸新幹線金沢開業効果等により、JR金沢駅を中心に広域的に地価が上昇しています。平成30年度は固定資産税の評価替の年ですので、3年間据え置かれていた上昇分が反映され、固定資産税額が急激に増えてびっくり(@_@)というところもあります。

賃料増減請求権は借地借家法第32条1項に規定されています。

「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」

では、その場合にいくらぐらいの賃料が適正なのか?大変難しい問題です。当初の契約時の賃料は、貸主と借主との間で合意した賃料ですから、そもそも当初の賃料から賃貸市場での水準に比べて安い、高いということもよくあります。ではその場合はどうしたらよいのか?これも大変難しい問題です。

当初の契約から数年を経て、賃料を改定したい場合(①同一使用目的で継続中の賃貸借の実際支払賃料を改定したい場合、②契約上の条件変更、使用目的等の変更による賃料の改定)には、鑑定評価では、「継続賃料」を求めることになります。「継続賃料」は現在及び過去の賃料の額がベースとなります(つまり、過去に合意した賃料が市場賃料と乖離していてもその額がベースとなります)。

その場合、①賃料形成要因のうち、直近合意時点から価格時点までの変動要因、②賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容の要因 が重要となります。

継続賃料を求める鑑定評価の手法は4つあります。それぞれの手法を適用のうえ求められた試算賃料について再吟味、説得力に係る判断を行って、最終の鑑定評価額を決定していきます。

①差額配分法・・・現行賃料(実際実質賃料)と本来あるべき水準(正常実質賃料)との差額を求め、差額が発生した要因を分析して賃貸人、賃借人に配分するというものです。

②利回り法・・・基礎価格(不動産価格)に期待利回りを乗じ、必要諸経費を加算して賃料を求めるのですが、過去において、「貸主に〇%の純賃料を確保させることを合意した」と考えます。その後、基礎価格(不動産価格)が変動した場合には、変動後の価格時点の基礎価格に継続賃料利回り(=過去に合意した利回り〇%)をかけて、純賃料の割合は確保しようとする考えです。

③スライド法・・・過去において、当事者間で合意した「純賃料の額」を確保しようという考えです。この間の物価の変動や各種指数の変動に連動させ、純賃料の額を修正しようというものです。

④賃貸事例比較法・・・似たような事例(継続に係る賃貸借等の事例)を比較検討して、賃料を求めようとするものです。

 

いろいろなことを考慮しつつ、最終的には、説得力が高く、当事者の理解が得やすいものを重視して、最終の継続賃料を決定しますが、その間の過程が複雑ながらも理に適っているなと感じ、面白みを感じています。

 

自分の知識をアップデートするために、「家賃の鑑定評価」の研修を受講しました(‘◇’)ゞ

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